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ちょうとみっつのいし

ちょうと三つの石

小川 未明

「婦人倶楽部」1921(大正10)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,385 字 · 9 页

青空文庫

」と、女は答えました。

「なに、私は、あの世へいって、おまえのくるのを待っている。おまえは、できるだけ、この世の中を幸福に送ってくるがいい。」と、夫はいった。

「あの世へいくときには、なんでも高い山を上るそうです。どうか、その峠のところで待っていてください。」と、女はいいました。

夫は、うなずいて、なんの心残りもなく、ついにこの世を去ってしまったのです。

女は、また一人になりました。そして、たよりない日を送らなければならなくなりました。村の人は、この不しあわせの女に同情をしました。

「まだ若いんだから、いいところがあったら、お嫁にいったがいい、お世話をしてあげます。」と、村の人はいった。

「そんなことをしては、死んだ夫にすみません。」と、女は涙ながらに答えました。

「すむも、すまないもない。死んでしまった人は、消えたも同じものだ。あの世などというものは、まったくないものです。」と、村の人はいいました。

女は、ほんとうにそうかと思いました。そして、人にすすめられるままに、三たびお嫁にゆきました。

三度めにいったのは、鳥屋でありました。そこへいっても、彼女はよく働きました。