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つばきのしたのすみれ
つばきの下のすみれ
小川 未明
「小学少女」1922(大正11)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,377 字 · 5 页
すみれは、自分の生まれ出た地面から離されることは、たいそう悲しゅうございました。もう二度と太陽の光は見られないんでなかろうか、そして、あの夜々に、大空に輝く大好きな星の光を望むことができないのでなかろうかと、愁いましたが、また、やさしいお嬢さまのなさることだと、安心をしていました。
竹子さんは、すみれの植わった鉢を、自分の勉強する机のそばに持ってきました。すみれはそこで、目ざまし時計や、きれいな表紙のついている雑誌や、筆立てや、また、竹子さんが、学校で稽古をなさるいろいろな本などを見ることができました。しかし、この生活は、すみれにとって、あんまり好ましいものではなかったけれど、つばきの木の下にいて人間に踏まれたり、鶏につつかれたりすることを考えたら、とても比較にならぬほどしあわせなことでありました。もしここで、太陽の光と、星の輝くのが見られ、そして、みつばちや、ちょうがきてくれたなら、すみれは、おそらくこんなに安全な生活はなかったのでありましょう。
すみれの花は、しばらくの間は、竹子さんの机のそばで咲いていました。竹子さんは、水をやることをけっして怠りませんでした。