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つばめとうお
つばめと魚
小川 未明
「初等四年」1946(昭和21)年10月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,208 字 · 5 页
「そうおっしゃれば、まあしあわせですよ。なにしろ、みんなが私たちを、金魚よりきれいだといって、ほめてくれますし、めずらしいので、貴重品あつかいにして、価も高くつけ、大事にしてくれますから、くにに、いたときのことを考えれば、くらべものになりませんよ。」と、熱帯魚は、答えました。
「まったく、あちらにいては、あなたたちの、きれいなのが、めだちませんでしたものね。」
「いったい、くにの人は、ほんとうに美しいものを、見る目がないんですよ。」と、一匹の魚が、いきごんでいいました。
「そうばかりではありません。あちらの自然が、きれいなのです。花でも、虫でも、日の光から、水の色まで、なにもかも、赤・緑・青・黄というふうに目のいたくなるほど、色がこいのですから、あなたたちがめだたぬのも無理はありません。」と、つばめはさとしました。
「こんなに、のんきに、暮らされれば、くにへなど、かえりたくありません。」と、ほかの一匹がいいました。
そのとき、青い顔色の少年が、疲れているらしく、重そうな歩きつきをして、あちらからきました。つばめは、それと同時に、飛び去りました。
少年は金魚をちょっと見ただけで、やはり、熱心に熱帯魚をながめていました。