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とびよなけ

とびよ鳴け

小川 未明

「小学六年生」1940(昭和15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,471 字 · 12 页

青空文庫

十二月の日曜日でした。風のない静かなお天気であります。辰一は、午後から、××の空き地へいってみようと思いました。

「あの学生さんは、きょうも野球をやっているかな。」

自分の住む町から、だいぶそこまで離れていました。空き地へいくと、今度広い道路が通るので、多数の家屋が取りはらわれた跡でありました。

あたりを見ると、まだ半分壊されたままになって、土台のあらわれている家もあったし、すでに、一方の端では、新しく建築にかかった家もあります。見わたすかぎりの広場の中は、いろいろの風景が雑然として見られました。

こちらには、土管や、人造石が積まれているし、またあちらには、起重機が置いてありました。ところどころ木立があって、頭の上を青い空が拡がっていました。都会でこんなにはるかな地平線の見えるのは、珍しいことです。

遠い煙突からは、黒い煙が、上がっていました。ちょうど、海をいく汽船の煙のようにも思われました。あちらでも、こちらでも、町の子供たちが、たこを上げて遊んでいます。風がないせいか、高く上がっているたこがありません。そして、工夫たちも、今日は仕事が休みなのか、地平機が投げ出されたままになっています。