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なつかしいなかま
なつかしい仲間
宮本 百合子
「新女苑」1940(昭和15)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,477 字 · 9 页
昔『若草』という雑誌に「紅い玉」というおけいちゃんの思い出をかいたことがあった。もし、そんなものでもよんで便りをくれはしまいかと、その期待の心もその文章には書きあらわしたが、何のおとさたもなかった。富豪の思いものとなったのが本当なら、もしや、あのおけいちゃんも、粋と富貴をとりまぜた装で私などのわきは、すーと通りすぎてゆく心になって今日を生きているのでもあるだろうか。
女学校時代の友達というものも、おけいちゃんとはちがう形ではあるけれども、やっぱり夫々境遇というものに支配されて、昔の四人組も、思い出のなかのものとなってしまっている。やはり文学がすきで、作文のなかに漱石もどきに、菫ほどの小さき人云々と書いたりしていた高嶺さん。ショルツについて分教場でピアノを勉強していたこの友達は、独特なシントーイストの妻となって、小説を書く女とのつき合いなどは良人であるひとからとめられている様子である。この四人組の一人であった千枝子さんという友達の白山御殿町の家へ、五年生の夏休みの或る夜、私が書きあげたばかりの小説をもって夢中になってかけつけて行った心持も、思い出せばほほ笑まれる。