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なまずとあざみのはなし
なまずとあざみの話
小川 未明
「赤い鳥」1928(昭和3)年5月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,008 字 · 6 页
そして、黒いあざみの花を見つけてびっくりしました。
「これは、たいした発見だ。この花に、おれの名まえでもつけてやろう。」と、喜んで、根もとから、あざみの花を切ってしまった。
学者は、その花を帽子にさしました。もっとこのあたりをたずねたら、新しい、不思議な植物が発見されないものでもないと、目をさらにして歩いていました。
「なにか、新しい発見をして、博士になろう。」と、学者の目は希望に燃えていました。
ちょうどその後へ、昨日のちょうが飛んできて、
「あの気の毒な、病気のあざみはどうなったろう。」と、みまったのでした。すると、むざんにも、だれにか、ちぎられてしまっていたので、ちょうは、あわれな花の運命に同情せずにはいられなかったのです。
学者は、都へ帰るため汽車に乗っていました。あざみの花を散らさないようにと、帽子にさしていたが、窓によりかかっているうちに居眠りをしました。花は、もうまったくしおれかかっていたので、風の吹くたびに、汽車の窓から、過ぎる村々へ、散って飛んでゆきました。
原因不明の軽い熱病が、村々へ流行したのは、その後のことです。しかし、日がたつと、いつしかその病気も、あとかたなく消えてしまいました。