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なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

同時に、多数の男女の哄笑が爆発する。

上下幕が静かに下る。

第三場(幻想の辻広場)

ひざまずいている文麻呂を前にして、平安人達が男女群をなして取り巻いている。嘲笑、私語。気違い、気違いなどと囁き合っている。……文麻呂の背後には、正装した大納言大伴ノ御行。……

舞台中央には、華麗な御所車が一台止っている。美麗な装飾をほどこした竹簾がかかっていて内部は見えない。

御行 そう云うわけで、皆さん、間もなく皆さんの前に連れ出してお目に掛けますが、あの御所車の内にいらっしゃるお姫様も、やっぱり多少この辺が(と頭に手をやって)どうも、……妙ちきりんなのです。

また哄笑が爆発する。一通り哄笑が終ると、一同は改まって、大納言に慇懃な御辞儀をする。それが済むと、再び私語・囁き。

御行 分りましたかな?……そう云うわけですでな、……こちらにいらっしゃるこのお若い汝夫の君と、あちらにいらっしゃるそのお姫様とを、ひとつ、皆さんの前でめあわせてみたらどうか、とまあこう考えてみたわけなのですよ。

また哄笑が爆発する。それから、一同改まって大納言に慇懃な御辞儀。……

男4 大納言様。それは本当に面白いお考えでございます。