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なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
清原 ……ん、……でも、なよたけの家は竹林の真中にあって、竹で出来てるんだ。……だから、すぐ傍まで行かないと見えないんだ。
文麻呂 ふーん?……保護色なんだね?
清原 ん、……そうなんだ。
文麻呂は清原の煮え切らぬ態度を不愉快に感ずる。励ますように………
文麻呂 どうだい、清原。それじゃこうしようじゃないか。つまり、なんだよ、……大納言がやって来るまでにはまだ少しばかり間がありそうだから、しばらく我々はここに腰を落着けて、待伏せしていようではないか? え?……時を見計って、決行するのだ。我々の方はすっかり覚悟は出来ているんだから、たとえ万一ここでばったりと大納言にぶつかったとしたって何等狼狽することはない。堂々と計画通りに我々の初志を貫徹するまでの話だ。なあ。清原。そうだろう!
清原 (自信なさそうに)うむ………
文麻呂 まったく煮え切らないね、君と云う奴は。……それだからみんなに云われるんだよ。当節の若い学生はなんだかんだって。……口先だけで屁理窟をこねるのがいくら巧くたって、実行力のない人間はあるかなきかのかげろうだ。なあ。そうだろう?
清原 うむ………
文麻呂 僕は君に限ってそんな意気地のない男とは信じたくないんだ。