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なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
小野 成功を祈るよ!
文麻呂 とうとう、ここまで漕ぎつけたよ! 後は清原がやって来るのを待つだけだ……
小野 それはよかった!……まあ、そんな所に立っていないで、こっちへ来いよ。
文麻呂 うむ。
文麻呂、中央にやって来る。
小野ノ連、詮索するように文麻呂の眼付、挙動をじろじろ眺めている。文麻呂は得体の知れぬ興奮に、その眼は異様に輝き、なるほど、天空に向って浮游しているかのようだ。
小野 なかなか大した装束ではないか?
文麻呂 (両手を拡げて)これか? あははは。虚飾をはぎとったのだ。本然の姿に戻ったのだ。剣刀身に佩き副うる丈夫のいでたちとはこれだ! あはははは。どうだ!
小野 (気味悪そうに)大したものだよ。……ところで君はこれから何をしようと云うのだ?
文麻呂 なんだって!
小野 いやつまりだね、具体的に云って、どう云うふうにことを運ぶつもりか、と聞いているんだ。
文麻呂 分りきっているじゃないか!……なよたけは車にのせられて、間もなくここへやって来るのだ!……俺と清原はここで待ち伏せをして、大納言の魔手から彼女を救い出すと云う段取りさ。……具体的も糞もあるもんか! 問題は、なよたけを大納言の手から救い出せばそれでいいんだ。