轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

……俺の魂がなよたけを呼べば、彼女はいつでも微笑みながら、俺の前に現れるのだ。なよたけの唄が聞きたくなれば、俺はいつでもはっきりと聞くことが出来る……

小野 はっきりとか?

文麻呂 はっきりとだ!……例えば、俺は今、ここでこうして眼をつむる。……(眼をつむって)おう。……はっきりと聞えて来るのだ。なよたけとわらべ達の唄うあの春の唄だ。……(沈黙。眼をつむったまま異様な恍惚境)ほら。聞えないのかい? 貴様には聞えないのかい?

小野 (呆然として)俺には聞えない……

文麻呂 それじゃ、あの無数の小鳥の声はどうだ? あれも聞えないのか!……

小野 (文麻呂の異様な態度に不気味な恐怖を感じ始める)俺には聞えない……

文麻呂 それでは、あの竹の葉がさやさやと春風にそよぐ音は聞えないのか? 俺にはそれまで手に取るように聞えて来るのだ。

遠くの方から、魂ごいの行者達の呼ばい声が鈴の音と共にだんだんと聞えて来る。

小野 (その声にはっとして耳を澄まし、何やら烈しい恐怖感に襲われ、文麻呂が眼をつむっているすきに、抜足差足で左方にこそこそ逃げて行こうとする)

行者達の声、鈴の音、だんだん近く。