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ねじくりはかせ

ねじくり博士

幸田 露伴

「読売新聞」読売新聞社、1890(明治23)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,723 字 · 14 页

青空文庫

畢竟は螺旋的だから運動が千殊万差の異様をなして長く続くのサ。ソコデ人間の世界に生れて来るのも単に螺旋的にヒョコリと出て来るのサ、そうして人間の意思動作もすべて螺旋的にぐるぐるまわッているのサ。社会の栄枯盛衰も螺旋的にぐるぐるまわッているのだよ。易なんぞというものは感心な奴で、初爻と上爻とが首尾相呼んでぐるぐるとデングリカエシをやッて螺線を描いて六十四卦だけにコロガリころがッて実はまだいくらにでもコロガリ出すことが出来るのサ。ダカラ甘く天地を包含したようの事を示せるのサ。又人間の心をもイヤに西洋の奴らは直線的に解剖したがるから、呆れて物がいえない、馬鹿馬鹿しい折詰の酢子みたような心理学になるのサ。一切生活機能のあるもの、いい直して見れば力の行われているものを直線的にぐずぐず論ずるのが古来の大まちがいサ。アア螺旋法なるかななるかな。といいたるまま、かの学者はクンクンと鼻をならしながら、どうだ分ッたか螺旋法が、少し分ったろう、螺旋法に限るぞ、といい玉う。かの男は閉口してつくづく感心し、なるほどなるほど法螺とはこれよりはじまりけるカネ。(終)

(「読売新聞」