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ねじくりはかせ
ねじくり博士
幸田 露伴
「読売新聞」読売新聞社、1890(明治23)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,723 字 · 14 页
まず手近に例を取て見せようか。犬の尻尾は即ち螺線なのサ。君の頭に生ている毛は螺線に生えてるのサ。イイカネ、螺線の類は非常に多いがネ、第一は直線的有則螺線サ、これは玩弄の鉄砲の中にある蛇腹のような奴サ、第二は曲線的有則螺線サ、これはつまり第一の奴をまげたのと同じことサ、第三は級数的螺線サ、これは螺線のマワリが段々と大きくなる奴サ、第四は不規則螺線サ、此奴が実にむずかしいのだ、メチャメチャに蚯蚓の搦み合たようの奴だ、まだこの外に大変に螺線の類があるのサ、詳くいえば二十八通りの螺線があるよ、尚詳しくいえば四万八千ぐらいあるのだがネ、君が幾何学的思想に富んでいれば直に分るのサ。どうもマセマチカルの考えの薄い人は中々奥妙の理を急に会得する事が難いよ。ダカラ希臘の哲学者はまず哲学を学ぶ前に数学をやれと弟子達に教たのだよ。この頃世間に哲学臭い事をいう奴が多いが、叩いて見ると皆数学思想が薄弱だから困るよ。これは日本支那の通弊サ、数学的観念が発達しない人間は馬鹿馬鹿しい事を考えるものだよ。論理学なんぞは学ぶに足らないのサ、数学で沢山サ。イイカネ、「物は或勢力より追やらるる時は螺線的にすすむ」