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のろのろほうだんのきょうい

のろのろ砲弾の驚異

海野 十三

――金博士シリーズ・1――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,247 字 · 19 页

青空文庫

もし重力を完全に打消すことができたら、砲弾は、地球と同じ速さで、地球の廻転と反対の方向に飛び去るわけだが、それはわかるだろう」

「なるほど、なるほど」

と、私も前へのり出した。

「しかし、重力をそれほど完全に打消さず、或る程度打消せば、それに相当した速度が得られる。低速砲弾においては、ほんのわずか重力をうち消してあるばかりだ。それでも、途中で地面に落ちるようなことはない」

「それはいいが、砲弾の飛ぶ方向は、どうするのですか」

ロッセ氏が、息をはずませて訊く。

「それは飛行機や艦船と同じだ。舵というか帆というか、そんなものをつけて置けば、いいのだ。操縦は遠くから電波でやってもいいし、砲弾の中に、時計仕掛の運動制御器をつけておいてもいい。――それはまあ大したことがないが、わしの自慢したいのは、この砲弾は、はじめに目標を示したら、その目標がどっちへ曲ろうが、どこまでもその目標を追いかけていくことだ。だから、百発百中だ」

「ほう、おどろきましたな。目標を必ず追いかけて、外さないなんて、そんなことが出来ますか」

「くわしいことは、ちょっといえないが、軍艦でも人間でも、目標物には特殊な固有振動数というものがあって、これは皆違っている。