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ひすいのたま

ひすいの玉

小川 未明

「幼年クラブ」1949(昭和24)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,347 字 · 7 页

青空文庫

まあ、めずらしいでしょう。おくさん、これなら、いくらも、高く売れますよ。」

こう聞くと、女の人は、ちょっとうたがいの色をみせました。なぜなら、すこしでも安く買いとるのが、ふつう商人のすることであるのに、なぜこの人ばかりは、しょうじきにほめるのか、これを、どう理解していいか、まよったのです。

「わたくしが、いただいてもよろしいのですけれど、こんな品をお手ばなしなさるあなたのばあいを考えますと、もっと大きい、信用のある店へお持ちなさいまし。そうすれば、いっそう高く売れます。わたくしが、ご紹介いたしますから。」と、おじさんは、しんせつにいいました。そして、いたわるごとく、女の人のようすをながめました。どこのおくさんかしらないけれど、つまさきのやぶれたたびをはいて、さむそうでした。

女の人は、おじさんが、損得をわすれて、いってくれる心がわかったので、思わず感激して、

「ありがとうございます。」と、礼をいったのでした。そして、頭をあげたときは、目の中がうるんでいました。

やがて、女の人は、おじさんから、紹介をもらって、店を出ていきました。

それまで、そばにいて、いっさいのありさまを、見たり聞いたりした竹夫は、ゆめからさめたような気がしました。