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ひすいをあいされたきさき
ひすいを愛された妃
小川 未明
「婦人倶楽部」1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,483 字 · 12 页
そして、西国の女王の首にかかっていた貴重なひすいは、ついにふじの花咲く国の妃の首飾りになったのであります。
ほどなくして、美しい妃は病気となられました。王さまは、国じゅうの名医をお呼びになって、なおそうとなされたけれど、命数だけは、人間の力でどうすることもできなかったのです。妃は青い石に、かぎりない未練を残して、この世から去ってしまわれました。
王さまは、泣いて、妃をふじの花が咲く山のふもとに葬られました。後に残されたたくさんの青い珠は、むなしく御殿の中にさびしい光を放っていました。王さまは亡くなられた妃の供養のために、大きな鐘を鋳ることになされました。そのとき、妃の大事にされた、数々の宝石をごらんになって、この青い宝石を砕いて、鉄といっしょに熔かして、形をなくしてしまおうとお考えなされたのです。
石も、鉄も、熔かしてしまうために強い火がたかれました。鐘を鋳るものは、王さまの命令に従って、仕事に苦心をしました。そして、大きな、重い、青みを含んだ鐘ができあがったのでありました。
その鐘は、街から仰がれる山の上に、鐘楼を建て、そこにつるされることとなりました。