轻松读懂日语经典作品
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ひとりすもう
ひとりすまう
織田 作之助
「海風 第三号」1938(昭和13)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,706 字 · 40 页
その表情は彼女を非常に若々しく見せた。彼女はもう二十六歳だったが、ぼくには自分と五つも違う様には思えなかった。ぼくらは歩きながら殆んど病気の事ばかり話した。
「肺病のこと良く御存知ですね」と言うと彼女は、
「ええ、私の夫が医者でしたの。矢張り胸を患ってなくなりましたが」と言った。ぼくはこの機会だと思って、
「そうですか。なくなられたんですか。ぼくはあの方が旦那さんだと思っていました」とあの晩の男のことをほのめかしたが、彼女は赧くなった丈で返答はしなかった。
白浜温泉口のバスの乗場まで来ると、ぼくらはその前の藤棚の下のベンチに腰を下ろしたが、そこは絶えず発着するバスの音が喧しくて、彼女からあの晩の男のことを訊きだそうとするぼくの目的には適わしくない場所だった。ぼくは喫茶店にでも誘いたかったのだが、言い出せなかった。疲れたとか、咽喉が乾いたとか思わせ振りなことを言うと、彼女は察して、お茶でものもう、と言った。近くの「銀砂」という小っぽけな珈琲店にはいった。ボックスでは、一人のまるで女の様な綺麗な肌をした色の白い、ぼくと同年輩位の美少年が、セルの着物の袖から白い手をぬッと伸ばして房々とした髪の毛をかきあげながら、その店の、雀斑のあるかなり可愛いい顔をしたワンピースのドレスの少女とひそやかに語らいながら二人切りの時間