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ひとわれをこうしきしゅぎしゃとよぶ
ひと吾を公式主義者と呼ぶ
戸坂 潤
「中央公論」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,981 字 · 19 页
そして多分、勉強に限らず、一人前になってから研究するにも、こういうやり方が科学的なのだなと、私は初めて気がついた。私は科学的精神というものを実は初めて知ったと云ってもいいが、それよりも大事なことに、私はこの時以来、公式主義者(?)となったことである。と云うのは、それ以来私は、判り切った誰にとっても似たりよったりのガラクタを、自分が初めて発見したように勿体をつけて一つ一つ繰り返すという退屈なやり方を、軽蔑するような気運に向いて来たのである。つまり公式を一々証明するだけの時間で、公式を使ってもっと先の問題を解く方が真面目なのだというイデオロギーを有つようになったのだ。之専ら旧師竹内端三先生の賜である。
処が驚いたことには、それから二十年近く経った今日になると、判り切った公式を一々証明してかかるのを省略することが公式主義だった筈なのに、物ごとは逆になって来て、判り切った公式を一々証明してかかることが即ち公式主義だというようなことになって来た。そして公式主義は何より悪いものだということになって来た。それだけではない、公式を使って問題を解くことさえが、又やはり悪い公式主義であるという事になって来た。