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びっこのおうま

びっこのお馬

小川 未明

「童話」1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,615 字 · 8 页

青空文庫

」といいました。

「なぜ、二郎ちゃんはそんなことをするの?」と、姉さんは不思議がりました。脊の低い二郎には、自分独りでは、それを窓の外に出すことができなかったのです。

「いいから、出しておくれよ。」と、二郎は頼みました。

「いまじきに雨が降ってきますよ。すると、お馬がぬれてしまいますよ。」と、姉さんはいいました。

「雨に当たったら、お馬の足が伸びるだろう。」と、二郎がいいましたので、姉さんも、この話を聞いていた兄さんも、また、家じゅうの人がみんなで笑いました。

「ああ、伸びますよ。」と、姉さんはいって、また笑われました。

みんなは、二郎が、ぼけの枝に芽をふくから、お馬の足も伸びるだろうと思っているのを、無理に打ち消すのをかわいそうに思ったからです。

「じゃ、出しておいてあげようね。」と、姉さんは、二郎の造ったびっこの馬を二階の屋根の上にのせておきました。

そのうちに、雨が降ってきました。雨は、庭先のぼけの花に当たると、紅い花片が雨に打たれてばらばらと、とれて落ちました。また、雨は二階の屋根に出ていた紙の青い馬にあたりました。するとまもなく、紙の馬はびっしょりとぬれてしまいました。