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ふるさとのはやしのうた
ふるさとの林の歌
小川 未明
「赤い鳥」1921(大正10)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,289 字 · 9 页
」と、娘は小鳥を見つめました。
「さようでございます。私のお友だちは、町の方へ飛んでゆきました。そして、いったぎりで帰ってこないものもあります。また、帰ってきて、しばらくこの林の中に止まっていたものもありますが、長くはしんぼうがしきれずに、ふたたびかなたの空を慕って飛んでゆきました。こうして出かけていったものも、それきり帰ってきませんでした。」と、小鳥は答えました。
「それで、町を見てきた、お友だちの目の色はにごっていましたか。」と、娘は、熱心にききました。
「それは、私にはわかりません。けれど、たえず、その目の中には、ちらちらとおちつかない影のようなものが漂っていました。そして友だちの話には、町で見た美しかったもの、不思議なもの、また怖ろしかったものが幻に見えてしかたがないといっていましたから、多分、そんなものに心が脅かされているのだろうと思います。」
娘は、じっとそこに立ち止まって小鳥のいうことをきいて、考えこんでいました。
「ああ、私も、まだ町を見たことがないの。」と、ため息をもらしながら、いいました。
「私は、けっして町を見ません、お母さんのいいつけを守って、この林の中で一生を送ろうと思っています。