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わがせいしゅん

わが青春

三木 清

「読書と人生」1942(昭和17)年6月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,749 字 · 6 页

青空文庫

*

卒業論文を準備していた秋の終わりに、私には一つの事件が起った。ある夜京都駅に有島武郎氏を見送っての帰り、小田秀人と議論しながら本願寺の前を歩いていた私は自動車にひかれたのである。危くひき殺されるところを全くの幸運で、左の肩の骨折ですんだが、一か月あまり入院した。そして『批判哲学と歴史哲学』という論文を出して卒業した。二十四歳のことである。

そのとし大正九年は、世界恐慌が日本をも見舞った年である。平和なりし青春は終って私の一生にも変化の多い時期が来つつあった。わが青春はほんとにはその時から始まったのであるといった方が適切であるかも知れない。

(『読書と人生』一九四二年六月号)