轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
アド・バルーン
アド・バルーン
織田 作之助
「新文学」1946(昭和21)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,390 字 · 53 页
翌朝、男は近くの米屋から四合十銭の米と、八百屋から五銭の青豌豆を買ってきて、豌豆飯を炊いて、食べさせてくれました。そして、どうだ、拾い屋をやる気はないかと言うので、私は人恋しさのあまりその男にふと女心めいたなつかしさを覚えていたのでしょう、その男のいうままに、ブリキの空罐を肩に掛けていっしょにごみ箱を漁りました。ちょうど満洲事変が起った年で、世の中の不景気は底をついて、東京では法学士がバタ屋になったと新聞に出るという時代だったから、拾い屋といってもべつに恥しくはない。それに私は何かその男といっしょに働く喜びにいそいそとして、文子のことなどすっかり思いきってしまいました。
ところが、拾い屋をはじめてから十日ばかりたったある朝、ガードの近くの百姓家へ井戸水を貰いに行っていると、そこの主人が拾い屋もいいが、一日三十七銭にしかならぬようではしかたがない。それより車の先引きをしないかと言う。その主人の親戚で亀やんという老人が、青物の行商に毎日北田辺から出てくるが、もうだいぶ身体が弱っているので、車の先引きをしてくれる若い者を探してくれと頼まれていたらしい。