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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ

エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説

戸坂 潤

「カント著作集 第一一巻」岩波書店、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,570 字 · 72 页

青空文庫

然るに構成は之に止らない。カントにあっては恐らく全く経験的な意味しか持ち得なかったであろう処の、従って物質の構成というような先天的な問題とは関係がなかった処の、磁気、電気、並びに化学的変化は、シェリングによれば夫々物質の長さ、広さ、深さに相応してそれから演繹されるものである。かくて自然に於ける一切の物質現象の群は先天的と経験的とを問わず根本力から構成される、演繹される。之に反してカントは自然現象に於てまず物質という一定の経験的概念を許した上で、それの成立をして可能ならしめる条件を求めることと、かくして得られた規定を一般の経験的事実に適用することとを峻別した。即ち自然哲学の先天的なる部分と経験的なる部分とを分った。否より正当に云うならば自然の形而上学と自然科学との権限を厳密に決定している。そして之が正にシェリングの自然哲学によって無視される処のものである。

シェリングの自然哲学がヘーゲルの自然哲学に影響を与えたことは云うまでもない。而もヘーゲルは自己の立場とカントのそれとの関係を述べる意味に於て直接にカントのこの著述に言及している。それは Enzyklop※(ダイエレシス付きA小文字)die(Bewegung und Materie)と Wissenschaft der Logik(Repulsion u