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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ
エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説
戸坂 潤
「カント著作集 第一一巻」岩波書店、1929(昭和4)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,570 字 · 72 页
前者の原理が支配する範囲を経験的自然科学、後者の原理が支配する範囲を純粋(又は合理的)自然科学という。純粋自然科学とは即ち自然に関して単なる理性に由来する認識の凡てを意味する。それは経験的直観の内容、所与、からの独立を意味する。処が向に述べた如く数学も亦恰もかかる独立の上に成立する。それ故科学の理想が、純粋であること、先天的であること、に存するならば、数学がその内に発見されるだけそれだけ自然論は真の科学となるわけである。けれども純粋自然科学は決して直ちに数学と同一ではない。後者はただ直観(形式的直観)に由来する筈であったのに反して、前者は自然に関して理性(悟性)に由来するものであった。そして後者が物の本質に関するに反して、前者は物の存在に関する。処がかかる存在は数学的に構成することは出来ない、理性によって思惟され且つ概念によって認識されるものでなければならない。それ故かかる存在に係らずにはいられない純粋自然科学は、この意味に於ては、単に数学的ではなくして、正に哲学的乃至形而上学的である。それは自然の形而上学である。そしてこの形而上学の発端となるものが『自然科学の形而上学的原理』