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オカアサン

オカアサン

佐藤 春夫

「女性」1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,831 字 · 20 页

青空文庫

これは明かに子供のすることで、また多分ひとりの子供ではなく二三人の子供が同時に鳥籠をとりまいて、われ勝ちにロオラにくれてやったのでしょう。

「ア、マダアルワヨ」

「ソコニモオチテイルワヨ」

この言葉をロオラが覚えたのは、きっと、こういう風に小さな飼主たちから食べ物を貰った時のことでありましょう。

一たいロオラの言葉は、たった一つ「ロオラや」という時の外には、無理に教えられたような言葉は殆んどないので、それだけに自由でいきいきとした調子を帯びているのです。だからわたしたちに余計に空想をも与えるし、またそれを覚えたろうと思える機会を想像させやすいのです。

「ロロや」

というのは、これはやっとそれだけの言葉が言えるだけらしい幼い子供の調子です。これがきっと「ボーヤ」の声なのでしょう。「ボーヤ」は「オカアサン」に抱かれてロオラのそばへ来て「ロロや」をくり返したにちがいないのです。

ロオラは朝のうち早くと、午後の三時ごろとが一ばんきげんよく喋るのです。それは学校か幼稚園かへ行っている子供たちが出かける前と帰って来た時とにあたります。(――尤も、どの鳥でも朝と午後のこのころとはよく囀るものではあります)その他にロオラは夜の九時か十時ごろ、誰か階段でも上って行くとその足音をききつけて、