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オフェリヤごろし
オフェリヤ殺し
小栗 虫太郎
「改造」改造社、1935(昭和10)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,366 字 · 58 页
尽してしまったのであった。
然し、何より読者諸君は、法水が戯曲「ハムレットの寵妃」を綴ったばかりでなく、主役ハムレットを演ずる、俳優として出現したのに驚かれるであろう。けれども、彼の中世史学に対する造詣を知るものには、何時か好む戯詩として、斯うした作品が生まれるであろう事は予期していたに相違ない。
その一篇は、「黒死館殺人事件」を終って、暫く閉地に暮しているうち、作られたものだが、もともとは、女優陶孔雀に捧げられた讃詩なのである。
現に孔雀は、劇中のホレイショに扮しているのだが、この新作では、ホレイショが女性であって、ヴィッテンベルヒに遊学中、ハムレットと恋に落ちた娼婦と云う事になっている。
つまりその娼婦を、男装させて連れ帰ったと云うのが、悲劇の素因となり、全篇を通じて、色あでやかな宮廷生活が描写されて行く。そして、ホレイショはまず、嫉妬のためにオフェリヤを殺す。しかも一方では、王クローディアスやレイアティズとも関係するばかりでなく、末には諾威の王子フォーティンプラスとも通謀して、ハムレット亡き後の丁抹を、彼の手中に与えてしまうのである。
その女ホレイショの媚体は、孔雀の個性そのものであるせいか、曽ての寵妃中の寵妃――エーネ・ソレルの妖振りを凌ぐものと云われた。