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カフェー
カフェー
勝本 清一郎
「共同通信社配信 第32〜33回」共同通信社、1964(昭和39)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,355 字 · 7 页
とうたってある。
この「我楽多文庫」が「文庫」と改題されてからの第十九号(明治二十二年四月)には川上眉山の「黄菊白菊」という小説の第五回が出ていて、そこに可否茶館の場をとらえた文章とその場を描いたさし絵がある。画中の文字は紅葉の筆跡である。
この文章と絵が日本の文芸・美術に日本のカフェーが登場した最初である。絵を見ると驚くことに和服の女学生が非常に長いはおりを着て、洋ぐつをはいている。男の長いはおりは江戸時代の天明年間に流行して、清長の絵に残っているが、外とうのように長い女のはおりというものは、茶ばおり流行のいまの日本人の記憶にはもうない。文章はこんな文体である。
「敬三は下谷の可否茶館に。そゞろあるきの足休めして。安楽椅子に腰の疲を慰め。一碗の珈琲に。お客様の役目をすまして。新聞雑誌気に向いた所ばかり読ちらして余念と苦労は露ほどもなかりし。隣のテーブルには束髪の娘二人」
石橋思案の「告条」には「茶ばかり飲むも至つて御愛嬌の薄き物と存じトランプ、クリケット、碁将棋、其外内外の新誌は手の届き候丈け相集め申置候」とか「文房室には筆硯小説等備へつけ、また化粧室と申す小意気な別室をもしつらへ置候へば其処にて沢山御めかし被下度候」