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カフェー

カフェー

勝本 清一郎

「共同通信社配信 第32〜33回」共同通信社、1964(昭和39)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,355 字 · 7 页

青空文庫

わたしが後年いったころにはこれに類する家はビクトリア・ルイゼ広場にあって比丘と略称されていた。もちろん尼さんスタイルでサービスしたわけではない。ゲイシャというカフェーもあった。

鴎外留学時代に始まるこの蟹屋、比丘、ゲイシャの線が大正期に盛った日本のカフェーの型の元である。だからそれは必ずしも大阪から東京への流れだけではない。この型の世界から荷風の「つゆのあとさき」のような傑作が生まれているのは、荷風がもう一つの意味でも鴎外のでしだったことを語る。それにしても、あれほどフランス好きでドイツと日本のことならなんでも悪口のタネにした荷風が、銀座のカフェーがドイツ流だったことに気がつかなかったのははなはだ愉快である。いまの洞窟喫茶、深夜喫茶もまたドイツ系である。