轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
キキリツツリ
キキリツツリ
海若 藍平
「九州日報」1923(大正12)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,063 字 · 6 页
私が勉強するためにお母さんに御心配かけては済みませんから」
とニッコリ笑いました。
校長さんは思わず露子さんの手を握りしめて涙を流して、
「おお露子さん、よく云って下さった。何卒あなたがこの学校を出ても……習った事はみんな忘れてしまっても……その心だけはいつまでも忘れずにいて下さい」
校長さんはすぐに露子さんをつれてお家へ行って、この事を御両親に話されましたら、さすがの意地の悪いお母さんも泣いて露子さんを抱きしめて、
「今まで妾が悪う御座いました」
とお父さんや校長さんにお詫をしました。それから露子さんは間もなく優等で小学校を出て、優等で女学校に這入りました。
女学校に這入ってからも露子さんは、あの虫がどうしてあんなに不思議な事が出来たか不思議でなりませんでした。おおかたあの赤い帽子を冠った虫が、あの夜校長さんの処に行って妾の事を云ってくれたに違いないと思いましたが、それを校長さんに聞くのは何だか変なような気がして、とうとう聞かずじまいになりました。それから毎晩毎晩、あの赤い帽子を冠った虫に一度会ってお礼を云おうと思いましたが、その後あの虫は一度も音も立てなければ姿も見せず、只小さな虫穴ばかりが露子さんの家の雨戸の桟にいつまでもいつまでも残っていました。