轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
02 雪の山小屋
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,012 字 · 48 页
梓さんは長い間衣裳戸棚の中をかき廻していたが、結局いつもの制服のようなプロシアン・カラーの服を着て来た。ちゃんとアイロンがあててあった。
やがて昼食のテーブルについたが、誰も喰べものが喉へ通らないふうだった。
トクさんは塩辛くて喰べられないというし、ピロちゃんは鮎子さんがいつまでも食卓にへばりついているといって拳固で背中をこづいた。キャラコさんのほかは、みな、ちょっとフォークをつけただけでさげさせて、料理番のすぎ婆やを仰天させた。
ちょうど三時五分になると、扉の打金の響きがきこえた。
ユキ坊やとピロちゃんは、ゾッとしたように眼を見合わせ、芳衛さんとトクさんは気が遠くなるような眼つきをした。キャラコさんが立って行って扉をあけると、そこに、四十二三の、スラリと背の高い中年の紳士が、慇懃なようすで立っていた。
ブリチェーズのようになった仕立てのいいトイルのパンツをはき、緑がかった水色の杉織の長胴着の上にしゃれたカバード・コートを着ていた。むぞうさなようで、どこといって隙のないスマートな身ごしらえであった。
紳士が広間へ入って来ると、鮎子さんが煖炉の前の椅子へ案内して森川氏の葉巻をすすめた。