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ゴルフずいこうき
ゴルフ随行記
寺田 寅彦
「専売協会誌」1934(昭和9)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,490 字 · 7 页
こんなのんびりした世界でさえも、自分の手でしっかり握っていない限り私有物の所有権は確定しないものと見える。してみるとやっぱり自分の腕以外にたよりになる財産はないかもしれない。
ゴルフもだんだん見ているとなかなか六かしい複雑な技術だということが少しは分って来る。少なくも、単に棒の頭で球をなぐって飛ばせると云うだけではないことがわずかに一時間半ばかりの見学でよく分ったような気がした。この日M君N君の解説を聞いたことだけから考えても、すべての芸道に共通な要領がゴルフの術にも要求されていることが分る。一番大事なものはやはり心の自由風流であるらしい。
人間が球を飛ばせたり転がしたりする遊戯の種類が一体どのくらいあるか数え切れないほどあるらしい。近代的のものでもゴルフの外に庭球野球蹴球籠球排球などがあり、今は流行らぬクリケット、クロケーから、室内用にはピンポン、ビリアードそれから例のコリントゲームまである。日本の昔でも手鞠や打毬や蹴鞠はかなり古いものらしい。
人間ばかりかと思うと、猫などが喜んで紙を丸めたボールをころがすのが、なんら直接功利的な目的があってするとは思われないから、やはりスポーツの一種らしく思われる。