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ジロリのおんな
ジロリの女
前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页
あなたの財産などは欲しくはありません。欲しいどころか、くれると云われても、コンリンザイ受取るものではありませんよ。僕はたゞ、あなたゞけが欲しいのです。僕が聟になるのじゃなく、あなたをお嫁に欲しいのです。兄のはじめた縁談とは別に、改めて僕自身からの求婚を考慮して下さいませんか」
と、きりだした。そして、ともかく、二人だけで、もっと冷静に話しあって下さいませんか、と云って、帰るというのを送ってでて、喫茶店で話をしたが、美代子は、母と大浦博士との問題がある限り、これ以上の汚辱を加えることはできないと席を蹴って、その足で、私の社へかけこんだ。
美代子はもう家へ帰りたくないからヤス子の家へ同居させてくれ、そして私の社で使ってくれ、というのだが、もとより一時のことで、いずれは心が落付く、然しそれまで、ともかく一日二日はヤス子さんに泊めていたゞくがよろしいかも知れません、と私がヤス子にささやくと、ヤス子はしばらく考えていたが、やがてハッキリと私を見つめて、キッパリと、
「私のうちはお泊め致しかねるのです」
という。問いつめてみると、自分の良人はダラシなくなり、女中には手をつける、同居の娘や人の奥さんにも怪しいフルマイをしかける、だからお泊めできないのだ、とハッキリ言った。