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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页

青空文庫

税務署の査定よりもはるかに厳しく、自分勝手で、そんな持参金を持ち出されては、病院の運営もできない。

「これは、あなた、サギですよ。まるで、男のツツモタセみたいなものだな。もちろん、種則も、兄貴の博士とグルですとも。よろしい。見ていてごらんなさい。私が泥を吐かせてみせます」

と、種則に来てもらい、衣子と私の面前にすえて、さて、大浦君、と、私が訊問にかゝろうとすると、にわかに衣子の様子が変って、当の敵は私であるかのよう、青白く冴えた面持、キッと私を見つめて、

「この話は当家の恥ですから、内輪だけで話し合いますから、三船さんは御ひきとり下さいね」

女中を呼びよせて、

「三船さんが、お帰りです」

有無を言わさず、宣告を下す。ここまで踏みつけられては、私もたゞは退き下れぬ。

なるほど、私が種則をよんで泥を吐かせましょう、と持ちかけた時に、衣子はすゝんで賛成するようなところは無かったかも知れない。けれども、一言といえども反対の言葉は述べなかったのだから、そして、私が電話で種則を呼んでいるのを黙って見過していたのだから、これを賛成と見て怪しからぬところは有り得ない。