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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页

青空文庫

熱がある。然し、それよりも、腹部の苦痛のために、呻き、もがいた。

生家の病院へかつぎこむ。淋毒であった。

二人は温泉などへは行かず、種則の知人の病院の病室へ、入院の形で下宿させてもらっていたのだ。種則は時々外泊した。美代子の持ちだした品物を売って、ダンサーと遊んでいたのである。二人は争うことが多くなったが、家出の身では、美代子は種則に縋らざるを得ない。種則の外泊のうちに、美代子は種則の知人の医者に犯された。その関係を、種則は見ないフリをしていた。病院の宿泊代を払わなくても済むからと、彼はむしろ喜んでいたのだ。種則は、金がつきたので、美代子に命じて、再び家から金目の物を持ち運ばせる手筈であったが、美代子が病気になったので、追い返してしまったのである。

泊っていた病院から、種則のもとへ宿泊料のサイソクが行った。種則は支払うことができないから、美代子に手紙を届けさせて、宿泊料はそっちで支払え、美代子は院長と関係があるのだから、宿泊料の始末は美代子がつける責任がある、という言い分である。食費がはいっているから、この金額は二万七千円になっている。

美代子はまだ病床についていた。