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スモーリヌイにひるがえるあかはた
スモーリヌイに翻る赤旗
宮本 百合子
「大阪毎日新聞」1931(昭和6)年1月5日~21日号(15日号、19日号を除く)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,354 字 · 51 页
「血の日曜日」である。
血は無駄に冬宮前の雪に浸みこんだのではなかった。「十月」が来た。
すべての権力をソヴェトへ※(感嘆符二つ、1-8-75)
餓えた農民と労働者は不決断な臨時政府がついにブルジョアの手先で彼らのものでないことを理解し、兵士は塹壕から、フロックコートを着てやって来る社会民主主義の煽動者をぼいこくった。ケレンスキーが、星条旗のひるがえるアメリカ大使館用自動車――四つのタイヤに支えられた数平方メートル内の治外法権を利用してガッチナへ遁走した。二十五日の夜中、三十五発の砲弾がこの広場の上を飛び、一七六八年このかた、初めて冬宮の「黄金の広間」「アレクサンドロフスカヤ広間」の床が、プロレタリアート群の重い靴の下で鳴った。
冬宮を占領したボルシェヴィキーは、密集した列をつくって壮麗な広間へと通り抜けた。歴史的瞬間であった。誰かが手をのばして広間に飾ってある置時計を盗んだ。すぐ続いて次の手、次の手、たちまち熱く叫ぶ声が前方からおちて来た。
――タワーリシチ! 何にもさわるな! 取るな! みんな民衆の財産だ!
広間から広間へ進むにつれ叫びはあっちこっちから絶えず聞えた。