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スモーリヌイにひるがえるあかはた

スモーリヌイに翻る赤旗

宮本 百合子

「大阪毎日新聞」1931(昭和6)年1月5日~21日号(15日号、19日号を除く)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,354 字 · 51 页

青空文庫

――大抵、党員なんですか?

――いいえ、いいえ!

薄い繭紬みたいな布で頭をつつんだ血色のいい婦人党員は、つよく否定した。

――みんな党外の婦人です、党は、党外の人々の助力なしに何も出来ない。……ああ、あなた、暇ですか?

百二十四番の室へ、来なければならなかった。

――じゃ丁度いい、今日あの人たちあなたと話す時間がないが、きっと、それを希望しているだろうと思います。もう一遍よってくれませんか?

勿論、異議のあろうはずはない。だが、このひとはいつ休むのだろうか? 日本女は、

――あなた、休暇もうすんだんですか?

と繭紬の布にきいた。

――これから、……この講習がすんでから。

彼女は二十五だ。共産主義大学を来年卒業するところである。共産主義大学の生徒は、他のソヴェトの専門学校と同じく、夏の休みを必ず実習につかう。彼女もここで休みの一部をそういう目的に費している。

――……私、小さい娘がいるんですよ、十一ヵ月の。

ふと、あたたかく微笑みながら元気な彼女がいった。

――今は、彼女の父親と田舎に暮しているけれども……

後の窓からぱっとさし込む明るい光が、いろんな色の髪の毛を照している。