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『ぐうぞうさいこう』じょげん
ゼエレン・キェルケゴオル
和辻 哲郎
和辻哲郎『ゼエレン・キェルケゴオル』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『偶像再興』序言、「自然」を深めよ、ある思想家の手紙、生きること作ること、院展遠望、樹の根、偶像崇拝の心理、自己の肯定と否定と、すべての芽を培え、創作の心理について、停車場で感じたこと、転向、霊的本能主義、エレオノラ・デュウゼ、ベエトォフェンの面、「ゼエレン・キェルケゴオル」序。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,567 字 · 212 页
それが何となく英雄的にさえも感ぜられるのです。
これは一方から言えばいい事に相違ありません。生の享楽を知らないものは死んでいるのも同然です。底まで味わおうとしないのは生に対する卑怯です。もとより享楽に走るものはいろいろな過失に陥りはしますが、ゲエテも言ったように、
Wer nicht mehr liebt und nicht mehr irrt,
Der lasse sich begraben.
です。頭がぐらぐらしたり心が沸き立ったりするような目に逢うのも、生きがいがあるというものです。
しかしここには見のがすことのできない危険があります。それは歓楽に身をまかせることによって、他のさまざまな欲望を鈍らせることです。理想が何だ、道徳が何だ、人生が何だ、といったようなのんきな心持ちになることです。ゲエテのように、「全的」に、「充満」の内に生きることを心がけていた人なら、「過去を悔いず未来を楽しまずただ常に現前を味わえ」、という法則を自己の生活の上に掲げても、別に危険はなかったでしょう。しかし青春の時期にあるものは、この全的に生きるということを最も解していないのです。