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『ぐうぞうさいこう』じょげん
ゼエレン・キェルケゴオル
和辻 哲郎
和辻哲郎『ゼエレン・キェルケゴオル』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『偶像再興』序言、「自然」を深めよ、ある思想家の手紙、生きること作ること、院展遠望、樹の根、偶像崇拝の心理、自己の肯定と否定と、すべての芽を培え、創作の心理について、停車場で感じたこと、転向、霊的本能主義、エレオノラ・デュウゼ、ベエトォフェンの面、「ゼエレン・キェルケゴオル」序。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,567 字 · 212 页
一切の借り物を捨て、自分の直視にのみ即して考えてみるべきであった。――こう考えている内に、彼の感想の内から二つの語が自分の批評の証明として心に浮かんだ。彼は「徹底」について語りながら言う、徹底を言う人が案外に徹底していない、言わぬ人にかえって徹底したのがある。これは事実である。問題にならないほどわかり切った事実である。しかも彼はこの語で徹底を説くものを論破したつもりになっている。これによっても彼がかつて「徹底」を問題としなかった事は明らかである。なぜなら彼の態度には、徹底を要求する者の苦しみと努力とに対するいささかの同情も同感も現われていないからである。徹底し切れない所に徹底を要求する者の種々な心持ちがある。それを見得ない人にどうして「徹底」を論ずる権利があろう。彼は自らを「徹底した人」に擬しているかも知れないが、そのような徹底は恐らく矛盾を意識しない無知な妥協の安逸か、あるいは物の見方や扱い方の凝固に過ぎないだろう。――彼はまた所有の欲望を嘲って、自分の家庭の経験より見ても所有は不可能だと言う。これがまた彼に所有の要求のないことを、従って所有の要求を解し得ないことを示している。