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『ぐうぞうさいこう』じょげん

ゼエレン・キェルケゴオル

和辻 哲郎

和辻哲郎『ゼエレン・キェルケゴオル』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『偶像再興』序言、「自然」を深めよ、ある思想家の手紙、生きること作ること、院展遠望、樹の根、偶像崇拝の心理、自己の肯定と否定と、すべての芽を培え、創作の心理について、停車場で感じたこと、転向、霊的本能主義、エレオノラ・デュウゼ、ベエトォフェンの面、「ゼエレン・キェルケゴオル」序。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,567 字 · 212 页

青空文庫

この特徴は、多少形を変えてはいるが、後来日本に発生したあらゆる宗教に必ず現われている。たとえば、日蓮宗や念仏宗におけるディオニゾス的な(肉体的運動、一種の舞踏に伴なう所の)、宗教的歓喜のごとき、その著しい例である。しかし後に現われたものがかなり強く実践的であるに反して、上代のものは特に明瞭に芸術的であった。この密接な芸術と宗教との結合が、偶像崇拝に対してきわめて正当な根拠を与え得るのである。

私は、昔ながらの山野と矮屋とを見慣れた我々の祖先が、かつて夢みたこともない壮大な伽藍の前に立った時の、甚深な驚異の情を想像する。

伽藍はただ単に大きいというだけではない。久遠の焔のように蒼空を指さす高塔がある。それは人の心を高きに燃え上がらせながら、しかも永遠なる静寂と安定とに根をおろさせるのである。相重なった屋根の線はゆったりと緩く流れて、大地の力と蒼空の憧憬との間に、軽快奔放にしてしかも荘重高雅な力の諧調を示している。丹と白との清らかな対照は重々しい屋根の色の下で、その「力の諧調」にからみつく。その間にはなお斗拱や勾欄の細やかな力の錯綜と調和とが、交響の大きい波のうねりの間の濃淡の多いささやかなメロディーのように、人の心のすみずみまでも響きわたるのである。