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『ぐうぞうさいこう』じょげん
ゼエレン・キェルケゴオル
和辻 哲郎
和辻哲郎『ゼエレン・キェルケゴオル』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『偶像再興』序言、「自然」を深めよ、ある思想家の手紙、生きること作ること、院展遠望、樹の根、偶像崇拝の心理、自己の肯定と否定と、すべての芽を培え、創作の心理について、停車場で感じたこと、転向、霊的本能主義、エレオノラ・デュウゼ、ベエトォフェンの面、「ゼエレン・キェルケゴオル」序。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,567 字 · 212 页
彼らはもう自分自身のことなどを意識しない。彼らの心は偶像の内に融け入り、ただ無限の感謝と祝福との内に、強烈な光燿と全心の軽快とを経験するのである。――実際、興奮した彼らの心は、彫刻に対しても音楽に対しても、きわめて敏感になっている。その内のいのちの強さと濃淡とは、たとえ明確にではなくとも、きわめて強烈に感ぜられたに相違ない。ことに右の場合のごとく、すべての芸術的効果と宗教的感化とが、ただ一点に、すなわち偶像の礼拝に集中している際には、その有頂天がいかに深く強いか、ほとんど我々の想像以上であったらしい。かくして我々の祖先は、偶像崇拝において一種の美的宗教的な大歓喜を味わっていたのである。
さらにこのことは、「生きがいのある」、より高い生活を求めて「道場」にはいった多くの僧侶において、一層著しかったに相違ない。
当時の寺院は恐らくすべての点から見て文化の宝蔵であった。そこにはただ修道と鍛練との精進生活があったばかりではない。むしろあらゆる学問、美術、教養などがその主要な内容となっていた。あたかも大学と劇場と美術学校と美術館と音楽学校と音楽堂と図書館と修道院とを打って一丸としたような、あらゆる種類の精神的滋養を蔵した所であった。