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『ぐうぞうさいこう』じょげん

ゼエレン・キェルケゴオル

和辻 哲郎

和辻哲郎『ゼエレン・キェルケゴオル』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『偶像再興』序言、「自然」を深めよ、ある思想家の手紙、生きること作ること、院展遠望、樹の根、偶像崇拝の心理、自己の肯定と否定と、すべての芽を培え、創作の心理について、停車場で感じたこと、転向、霊的本能主義、エレオノラ・デュウゼ、ベエトォフェンの面、「ゼエレン・キェルケゴオル」序。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,567 字 · 212 页

青空文庫

それ故人に対する時自分の心の面には常に弱所を突こうとする欲望があった。またすべての愛は自愛に帰納せられた。人を愛する心持ちがどんなに強く自分の内に起って来ようとも、それを自愛まで持って行かなければ満足が出来なかった。

この時自分の解していた「自己肯定」より見れば自分のこの傾向は至極徹底的であった。すべての人が自分を捨ててもいい。人が自分を捨てる前に自分は既にその人を捨てているのである。自分は孤立の淋しさを恐れない。それを恐れるのは自分の独立と自由とが完全でない証拠に過ぎないから。自分が人を欲する時には人を征服して自分に隷属せしめる。自分の愛は、常に、自分を完成する要素としての人間に向う。自分は淋しさや頼りなさを追い払うために友情を求めたりなんぞはしない。友人の群を心持ちの上の後援として人と争ったりなんぞはしない。自分はただ独りだ。ただ独りでいいのだ。

しかしながらこれは自分の全部であったろうか。自分は自分の内の愛を殺戮するために、忍びやかに苦痛を感じてはいなかったろうか。自分は自分の嘲笑や皮肉が人を傷つけ人を怒らせた時、常に「それは自分の欲した所ではなかった」