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ソヴェトのしばい

ソヴェトの芝居

宮本 百合子

「改造」1931(昭和6)年3、4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,289 字 · 53 页

青空文庫

の全然新しい演出。失敗に終った「知慧の悲しみ」の同じような試み。ただ物ずきでメイエルホリドはそれ等をやったのではなかった。十九世紀の「検察官」の記念碑的内容を、ソヴェトの音で、ソヴェトの形で、社会主義建設にたずさわるソヴェト・プロレタリアートの社会的自己批判にたたきつけようとしたものだ。

実際、メイエルホリドの「検察官」をはじめて観るといい加減びっくりする。最後の幕切れに、昔からの「一同仰天」の型で一応きまる。がメイエルホリドはそこで幕にしない。つづけて直ぐ市長が発狂する。ピーピーつづけざま呼笛が鳴る。狭窄衣がとび出す。赤いプラカートがスルスルと舞台一杯におりて来て、舞台からとびおりて俳優が観客席の間を右往左往、小鬼みたいに叫びながら馳けずりまわり、パッとそれが消え、再び舞台が明るくなったと思うと、映画のフラッシュ・バックの手法で、そこにもとのまんま「一同仰天」の型で何とも云えずかたく人形ぶりで凝固した例の市長夫人、郵便局長以下の面々がいる。

オヤ、本物かしらん? それにしては早がわりすぎる。何だかへんだ。――人形だ。とわかった瞬間、舞台は真暗になって、見物の心には、焔で引っかきまわしたような、