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ツルゲーネフのいきかた
ツルゲーネフの生きかた
宮本 百合子
「文化集団」1934(昭和9)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,189 字 · 22 页
一八八三年、六十五歳の時脊髄癌を病ってパリで死ぬまで、ツルゲーネフは有名な農奴解放時代の前後、略三十年に亙るロシアの多難多彩な社会生活と歴史の推進力によって生み出される先進的な男女のタイプとを、世界的に知られている小説「猟人日記」、「ルージン」、「その前夜」、「父と子」、「処女地」等において描こうとしたのであった。
ブランデスは、ツルゲーネフが死んだ年非常に情愛のこもったツルゲーネフの評伝を書いた。その冒頭に「ツルゲーネフはロシアの散文家中最大の芸術家である」と云っている。
ブランデスがその評伝を書いた時から今日まで、既に五十一年の歳月を経、しかも一九一七年以後には、人類の歴史がその一部を書きかえられた程、社会的に巨大な発展を遂げている今日、ツルゲーネフをロシア散文家中最大の芸術家とするには、当然多くの異論を生じるのである。
しかしながら、ヨーロッパに於ける新しい社会運動の動力であったロシアを何かの形で世界に紹介したという点から見ても、ツルゲーネフは、当時オストロフスキー、トルストイ、ドストイェフスキー、ゴンチャロフ、ニェクラーソフなどと共にロシア文学史上の「七星」