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ディズニーのひととさくひん
ディズニーの人と作品
中谷 宇吉郎
「週刊朝日」1955(昭和30)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,273 字 · 13 页
ディズニーの映画の底流には、彼独自の詩がある。彼の映画が、全世界の子供たちにはもちろんのこと、大人の人の心にも、純粋に溶け込んでいるのは、多分にこの詩情によるものと思われる。詩人としてのディズニーの片鱗を語る、ちょっと面白い挿話を、最近聞いた。今度この稿を書くについて、ディズニーと親交のある大映の永田雅一氏に、先日会った時の話である。
ディズニーは非常に頭がよく、話の灸所をよく掴んで、ぐんぐん掘り下げていく型の人だそうである。そしてそういうところへくると、急に熱がはいってくる。ふだんはあまり煙草をのまないが、話に熱中すると、ときどきひょいと一本煙草をつまむことがある。しかしすぐには火をつけない。ぽつんと会話を打ち切って、黙って一、二分、じっと煙草を見つめている。その様子はいかにも、「今この煙草が口をきいたら、どんな言葉をしゃべるだろうか」といぶかっているように見えるそうである。
この話はディズニーの人柄をよくとらえた話である。ディズニーはいつまでも童心を失わない型の人らしい。もちろん、芸術家とか詩人とかいわれる人たちは、誰でもこの型に属するものとみてよい。