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ドミノのおつげ
ドミノのお告げ
久坂 葉子
「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页
いずれはこの家を出てゆかねばなりません。私は生家への愛着など微塵も持っておりませんし一生独身で通そうとも思っておりません。水の流れにぽんと体をおいて、何処まででも行って頂戴、行きつくところで私は落ち着きます、と云った気持でこの頃はおりますものの、肝じんの縁談もなく、ますます若さがすりへってゆくようなさみしさと、それに対するあせりを感じないでもありません。
「母様、貴族や華族の部類はやめておいた方がいいわよ」
他所言のようにそう云って私はひとりでクックッ笑ってしまいました。
「それよりお金のある方がいいんでしょう」
母は軽くそう云いました。
寝床にはいってから明日の予定をたてました。お天気がよかったら京都へあそびに行こうと決心しました。紅葉が丁度よい頃です。ぶらぶら人の行かないような道を選んで歩くのが私は好きでした。二三日前に、ピアノの売買を世話してわずかな謝礼金がはいりましたから、それで一日のんびりして来ようとほくほくしながら眠りについたのでした。
ところが翌日の朝。
父が今日は少し加減がいいから、私にしらべ物をしてくれと、そのリストをこしらえはじめました。