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ドミノのおつげ

ドミノのお告げ

久坂 葉子

「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页

青空文庫

父の以前関係していた会社の人が多勢きて形通りのおくやみを流暢にのべてくれました。菊の花が部屋中に香り高く咲き、その中に婦人の喪服の黒さが目にしみました。兄を私の部屋にやすませて、しばらく二人だけでおりました。

「兄様、しっかりね。信二郎だってもう大きいし、兄様に何でもおたすけしますわよ。とにかく今はお体のことだけをかんがえてね。わずかな株や何かで何とか致しますから、心配なさらないでね」

「雪子に済まないよ。どうにも仕様がない。雪子に何でもたのむから、母親と力を併せてやってくれ。兄様もなるべく我儘云わないから」

兄は弱々しくそう云いました。八卦見の云ったことは当りました。家に大事があったのです。けれども、私の生き方は変りません。私の意志、私のエゴイズム。私の自由。私はそれを押えてこれからも大きな荷物を背負います。それがつとめだと、宿命だと考えねばなりますまい。

「僕が死んだら、ショパンのフユネラルかけてね」

兄はその時、ぽっつりそう云いました。信二郎がはいって来て、

「僕が死んだら葬式なんかせんでいい。死体をやいて、その灰を海へ捨ててくれ。パーッパーッとね。