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ニューフェイス

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坂口 安吾

「小説と読物 第三巻第七号」桜菊書院、1948(昭和23)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,479 字 · 25 页

青空文庫

ソプラノ嬢が、では、悪くはないと考えるわね、と言うものだから、じゃア、一とッ走り、千鳥波とかけあってきます、ちょッと待ってゝ下さい、とトンカツ屋へかけつけて、

「今日は凄い吉報をもってきたぜ。うちへくるお客の一人に上品でチャーミングなお嬢さんがいるんだが、然るべき家柄の人で、まア当節ハヤリの没落名家のお嬢さんだ。目下は事務員をしているが、事務員が性に合わないから、ワタシの店で働きたいと申しこまれたわけだが、ウチは女相手のショウバイだから女給仕は使えない。残念だけれども仕方がない。このトンカツ屋じゃアお嬢さんに気の毒なんだが、知らないウチへとられちゃ尚くやしいから、口説き落して、ウンと云わせたんだ。ドリンクの店はイヤだと云ってたんだぜ。なんしろ目がさめるように美しくって、モダンで、上品で、チャーミングで、パリパリしたところがあって、こんな月並の一杯飲み屋じゃ、可哀そうだが、友情のためには女ばかりをいたわってもいられないから、心を鬼にしてウンと云わせたんだ」

「いやにモッタイづけるない。それだけ御念の入った言葉数で女のマズサの見当がつかあ。手がいるのだから仕方がない。