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ニューフェイス

ニューフェイス

坂口 安吾

「小説と読物 第三巻第七号」桜菊書院、1948(昭和23)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,479 字 · 25 页

青空文庫

よく見れば刃物でえぐられたようでもないから、割ってはいって、

「アレレ。前頭なんてえものも、引退すると、こんなものかね。どちらの姐御か知りませんが、とんだお見それ致しました。私どもは決してお手向い致しませんから、ごかんべん願います」

「ウムム、畜生、やりやがったな。このスパイの悪党女め」

「これこれ、失礼を言うものじゃない」

「いゝえ、姐御なんてえ気のきいたものじゃアないんで。アッシはこのところ胃袋をチョイと子供にさゝれてもダメなんでさ。然し、見事に、やりやがった。今度こそカンベンならねえ。背骨を折りたたんでソップにしてやる。シン公の野郎からなんと指図をうけてきやがったか、白状しろ」

「えゝ、えゝ、言います。毎晩九時にくる三人づれは、作曲家と映画会社の支配人とプロジューサーで唄の上手なニューフェースを探しているから、唄ってきかせて、とりたてゝいたゞきなさいと指図をうけたわよ。それを信じたことは、それは私の無智だけど、それ故に、それを暴力に訴える、それによってのみしか位置の優位を知り得ない、それはそれによって敗戦をまねいた劣等人種の偏見であるわよ」

「なるほど、わかりました。