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パーティものがたり

パーティ物語

中谷 宇吉郎

「オール読物」1955(昭和30)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,735 字 · 22 页

青空文庫

たいてい男の役目であるが、大分高級なおちがついているらしく、私などにはわからないことが多い。しかし夫人連が嬌声をあげて喜ぶところをみると、大分お気に召すらしい。相槌の打ち方、眼玉の動かし方など、なかなか堂に入ったものである。

この頃になると、亭主どもばかりではなく、夫人連も、そろそろ神輿をあげて、サービスを始める。コップが大分あいていると、「もう一杯如何です」と、勧誘に来る。アメリカでは、酒はすすめないというが、それは強要しないという意味で、すすめ方はなかなか上手である。すこし手持ち無沙汰な様子を見せる客があると、その傍へ坐り込んで、いろいろ話をもちかけ、酒も飲ませ、上手に遊ばせるようである。

日本のバーの女給さんのことは、不幸にして、まだよく知らないが、多分こういうふうにして、よろしく遊ばせてくれるのではないかと思う。もしそうでなかったら、細君や子供たちに、人間以下の生活をさせながら、自分だけバーなどで、酒を飲んでいるというようなことは、一寸考えられない。それほど馬鹿な人間だったら、現代の社会に、サラリーマンなどという地位を保って行けるはずはないから、女給さんたちは、これだけの無理を強行させるのに相応するサービスをしているにちがいない。