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パーティものがたり
パーティ物語
中谷 宇吉郎
「オール読物」1955(昭和30)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,735 字 · 22 页
それならば安いのは当然である。
待合やバーで飲食する分を、自分の家でやれば、費用は五分の一か十分の一ですむ。それくらいのことは、日本でも知らない人はないであろう。それにもかかわらず、敗戦以来、ますます待合やダンスホールは繁昌している。敗戦から今日までの間に、この種の消費施設に投ぜられた資金と資材とは、優に日本の全電源の開発に必要な額と匹敵しているそうである。全電源というのは、もちろん経済的に開発可能な、という意味である。
それで政府の方では、貯蓄奨励とか、消費経済の規正とか、いろいろ厳めしいお達しを出しておられる。しかし現在の日本の社会状勢では、芸者や女給のいない「健全な」社会は、とうてい出来そうもない。しかしそれをやらなければ、生産の方へ金も物も集められない。其処に悩みがあるわけである。本当は、この問題は、道徳教育の徹底によって、解決すべきものであるが、次善の策としては、アメリカ流のやり方を輸入するのも一方法であろう。
実行方法はきわめて簡単である。令夫人たちが、芸者や女給を賤しむことを止めて、自らそれにとってかわる決心をすることが、第一歩である。