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パーティものがたり

パーティ物語

中谷 宇吉郎

「オール読物」1955(昭和30)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,735 字 · 22 页

青空文庫

毎日毎日のことであるから、芯のつかれる話である。ところで夕方家へ帰ってみても、家中塵一つ落ちていないように整理されている。一年中函をさしたように整頓された家に住み、自分の椅子に腰を下ろすと、目の前の棚には、寸分位置をたがえないで、五年前の夏休みに買ってきた壺が載っている。紙屑でも落ちていてくれれば、一寸拾って屑籠に入れることも出来るが、そういうこともない。

まあこういった調子で、何一つ不自由のない生活ではあるが、十年もつづいたら、こういう生活も、何となく草臥れるものらしい。それに厄介なことには、アメリカの普通の家庭では、かなり上等の暮しでも、食い物の楽しみというものが少ない。食糧品が規格化されているからである。それで楽しみといえば、まずパーティが第一に挙げられる。

アメリカ人、とくに御婦人方のパーティ好きは、日本に来ている連中の生活ぶりからもうかがえるとおりである。たいていは、カクテル・パーティであって、正式の夕食がつく場合は、三回に一回くらいの割合であろう。或いは五回に一回くらいか、それは付き合い仲間の層でちがう。

何処かの住宅区域に住みついて、仕事の関係が落着き、家庭の付き合いが一とおり行き渡ると、週末は、たいていパーティに潰れることになる。